建築物の用途変更
用途変更申請について
- 建築工事を伴わなくても、建築物の用途を変更して、建築基準法第6条第1項第1号の特殊建築物の用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超える場合には、用途変更を行う前に、確認申請手続きが必要になります。
- 用途変更部分の床面積が200平方メートル以下であれば、確認申請手続きは不要ですが、建築基準法には適法な状態とする必要がありますので、建築士に相談し、適法性を確認した上で用途変更を行ってください。
- 用途変更の工事完了届の提出後、設計図書どおりに工事が行われているかを確認するため、現地確認を行います(野々市市に申請する場合)。
- 用途変更申請が不要な規模・用途であっても、主要構造部の一種以上について過半以上の修繕・模様替を行う場合は、大規模の修繕・模様替の確認申請手続きが必要です。
用途変更の注意点
- 建築工事を行う予定がなくても、変更後の用途に適用される法令に適合させるための工事が必要となることがあります。
- 用途変更の規模などにもよりますが、申請から確認済証交付(着工)まで1ヶ月以上、期間を要する場合があります。
- 既存建築物が適法な状態かどうか調査する必要があります。検査済証がある場合でも、増改築などにより不適合箇所がある場合は、是正工事等が必要となることがあります。その場合、確認申請前に既存建築物の適法性について報告が必要です。
- 既存不適格部分がある場合、用途変更に際して、現行法令に適合させるための改修工事等が必要となることがあります。
(既存不適格:建築当時の法令には適合しているが、法令の改正により現行基準に適合していない状態) - 構造規定上、問題のない範囲内で用途変更をする必要があります。用途変更の内容によっては、設計荷重が増加することもあるため、その場合は、予め、構造安全上の検証が必要となります。
例)積載荷重(軸組の構造計算をする場合)
事務所:1,800N/平方メートル → 店舗の売場:2,400N/平方メートル - 消防法やその他関係法令についても適合している必要があります。
用途変更申請に必要となる追加図書
- 検査済証
- 既存不適格調書及び現況の調査書(現況図面)
- 不適合箇所がある場合、是正内容を示す報告書(法第12条第5項の報告書)
- 設計荷重の増加がある場合、構造安全性の検討書(法第12条第5項の報告書)
用途変更申請が必要な特殊建築物の例
- 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場など
- 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等(児童福祉施設、助産所、身体障害者社会参加支援施設(補装具制作施設及び視聴覚障害者情報提供施設を除く。)、保護施設(医療保護施設を除く。)、婦人保護施設、老人福祉施設、有料老人ホーム、母子保健施設、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホーム、障害福祉サービス事業(生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る。))など
- 学校、体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場など
- 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗など
- 倉庫など
- 自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオなど
上記に該当する場合であっても、建築基準法施行令で指定する類似の用途への変更については、確認申請手続きが不要となる場合があります。
用途変更の流れ ※野々市市に申請する場合
用途変更時に適用される規定(建築士向け)
1.用途変更時に適用される規定は、以下の2種類に分類されます。
(1)用途変更前の用途には適用されないが、用途変更後の用途には適用されることとなる規定
(2)既存不適格建築物を用途変更する場合に、法第87条第3項に基づき遡及適用されることとなる規定
上記(1)に係る規定は、用途に応じて適用が異なる規定であり、例えば、「事務所」を「飲食店」の用途に変更する場合に適用されることがある排煙設備や非常用の照明装置。また、事務所の一部を特殊建築物の用途に用途変更する場合に適用されることとなる施行令第112条第18項(いわゆる異種用途区画)などが挙げられます。
上記(2)に係る規定は、下表のとおり法第87条第3項に掲げる規定であり、用途変更時には、法第87条第3項第1号、第2号及び第3号に掲げる場合を除き、現行基準に遡及適用させる必要があります。
条文 | 表題 |
---|---|
法第 27 条 | 耐火建築物等としなければならない特殊建築物 |
法第 28 条第 1 項及び第 3 項 | 居室の採光及び換気 |
法第 29 条 | 地階における住宅等の居室 |
法第 30 条 | 長屋又は共同住宅の各戸の界壁 |
法第 35 条 | 特殊建築物等の避難及び消火に関する技術的基準 |
法第 35 条の 2 | 特殊建築物等の内装 |
法第 35 条の 3 | 無窓の居室等の主要構造部 |
法第 36 条中第 28 条第 1 項に関する部分 | ― |
法第 36 条中第 35 条に関する部分 | ― |
法第 48 条第 1 項~第 14 項 | 用途地域等 |
法第 51 条 | 卸売市場等の用途に供する特殊建築物の位置 |
法第 39 条第 2 項 | 災害危険区域 |
法第 40 条 | 地方公共団体の条例による制限の附加 |
法第 43 条第 3 項 | 敷地等と道路との関係 |
法第 43 条の 2 | その敷地が 4 メートル未満の道路にのみ接する建築物に対する制限の付加 |
法第 49 条 | 特別用途地区 |
法第 49 条の 2 | 特定用途制限地域 |
法第 50 条 | 用途地域等における建築物の敷地、構造又は建築設備に対する制限 |
法第 68 条の 2 第 1 項 | 市町村の条例に基づく制限 |
法第 68 条の 9 第 1 項 | 都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域内の建築物の敷地及び構造 |
2.用途変更時に現行規定が遡及適用される規定については、以下の2種類に分類されます。
(1)用途変更する部分のみに遡及適用される規定
(2)建築物全体に遡及適用される規定
上記(1)については、法第87条第4項に掲げる規定です。
上記(2)については、原則として、表1で示した法第87条第3項に掲げる規定から同条第4項に掲げる規定を除いた規定です。
3.既存遡及されないケースについて(法第87条第3項第1号~第3号)
第1号:増築、改築、大規模の修繕又は模様替をする場合
(法第86条の7の規定により既存遡及されるため、ここでは除外されています。)
第2号:政令で指定する類似の用途相互間の変更で、大規模修繕・模様替をしない場合
第3号:用途地域に関する既存不適格については、用途の変更が政令で定める範囲内である場合